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アスベスト無害化

【アスベストを取り巻く現状】
 石綿(アスベスト)を含む廃棄物はその有害性が深刻な社会問題となっています。
わが国における石綿含有建築材料の総計は約4,300万t。
今後、建築物の解体に伴い、その排出量は毎年100万tにも上ると予想されています。
 そのため国を挙げて法規制の整備・強化や無害化処理に向けて取り組んでいるところですが、ここに来てようやく無害化処理技術も実用段階に入ってきて、国内各地で新たなアスベスト無害化処理施設の建設と操業に向けた動きが現実味を帯び始めてきております。
ここでは、アスベスト無害化処理事業の本格的な展開を前にして、これらの問題に関わっていこうとお考えの皆様とご一緒に、無害化処理事業の課題に思いを巡らせてみることとします。

  1. 廃石綿等に関する国の取り組みと処理の現状
    1. 石綿廃棄物の規制の現状
    2. 廃棄物処理法改正の概要
    3. 廃石綿等の処理状況〔環境省発表:平成21年度〕
    4. 廃石綿等の処理業者〔環境省発表:平成23年3月現在〕
    5. 無害化処理認定制度について

  2. アスベスト無害化処理事業の市場規模等
    1. アスベスト含有建材等安全回収・処理等技術開発資料〔NEDOパンフレット〕
    2. 業界資料等で公表されている排出量
        石綿含有建築材料ストック量=約4,300万t。
        ⇒ 〔今後十数年にわたって〕毎年100万tの排出予想。
    3. 都道府県ごとに1施設〔排出量を基に市場規模から推察〕
        100万t/年間÷1万t/施設
        (1施設平均30t/日×330日程度操業として試算)
        ⇒ 全国で100施設程度必要。
         ※1施設平均50~60t/日としても、60~50施設が全国で必要(100t/日施設としても30施設)となる。
        ⇒ いずれにしても、都道府県ごとに概ね1施設は必要。
         ※発生場所(解体作業は全国津々浦々の生活圏で発生)から処理施設への運搬時のリスク(廃石綿等の飛散)回避の観点からも、一定の搬送距離範囲内に適正数の配置が望ましい。
      あなたの地区(都道府県)で誰かが担うことになります。

【アスベストの三つの処理方法】

  1. 最終処分場への埋立
    ◇◆ 従来法で運用 ◆◇
     非飛散性アスベストであれば「安定型最終処分場」、飛散性アスベストであれば二重梱包した上で「管理型最終処分場」へ埋立。
    いずれにしても、最終処分場の残余容量は逼迫しており今後に向けて量的にも期待できないばかりか、アスベストの飛散リスクを潜在的に抱えたまま将来にわたって先送りするだけで根本的な解決策にはならないと言えます。

  2. 廃石綿等の溶融施設
    ◇◆ 従来からの知見に則り政令に新設 ◆◇
     資料にも示されているとおり、廃石綿等を1500℃以上で高温溶融する施設は現在でも数社が操業中。しかし、他の廃棄物の処理と兼ねていたり施設数が少ない等の事情からその処理量は必ずしも充分ではない。
     しかも、その処理コストから廃石綿等(飛散性アスベスト)の処理が主で、大量発生している石綿含有建材(非飛散性アスベスト)の処理については、処理コスト面から引き合わず、埋立処分に回されているのが現状。
     平成18年10月、国は廃石綿等を1500℃以上で高温溶融する方式の施設については、廃棄物処理法(施行令第7条第11号の2)で「廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設」として設定。
     こちらの方は、どちらかというと処理コストも高いことから、よりリスクが高い「飛散性アスベスト」向けの対応策と見ることができそうです。

  3. 無害化処理認定制度
    ◇◆ 新技術による個別施設を国が直接認定 ◆◇
     平成18年8月に施行された「廃石綿等無害化処理認定制度」。
    従来の許可制度のように各所轄行政に委ねていては、
    ・(各所轄行政において実態化している)事前協議制度~設置許可 ~処分業許可のプロセスで余りにも時間が掛かってしまうこと、
    ・様々な無害化処理技術の出現が予想される事態に対して緊急かつ 弾力的に対応できず、許認可の遅れを招来してしまうこと、
    ・これではアスベスト廃棄物の大量発生を目前に控え、いつまで
     経っても「無害化処理」の展望は開けない……、
     そのためには国が直接申請を受けることによって速やかに審査~
    認定(施設ごとに個別)し、一刻も早い無害化処理施設の普及に弾みをつけたい、との狙いから創設された制度であることが窺えます。

【アスベスト無害化処理の技術的動向等】

  1. 廃石綿等の溶融施設
     1500℃以上の高温で廃石綿等を溶融(無害化)する「廃石綿等の溶融施設」は、一般的には建設コストも高いことから、高い処理コストが見込まれる「飛散性アスベスト」や焼却灰などを溶融資源化していく方向で計画が進められています。

  2. アスベスト無害化処理認定施設
     1500℃以上の高温溶融によらない様々な無害化処理技術が確立されて来ており、今後、国(環境省)への無害化認定申請が行われ、いよいよ実現化の段階に入ってきています。
    ◇融材混入による低温溶融(無害化)技術
    【ストリートデザイン】融材混入による低温溶融(無害化)技術+アスベスト梱包材の油化技術
    【クボタ松下電工外装:NEDOパンフP.6】マイクロ波加熱による無害化・資源化技術
    【戸田建設ほか】低温過熱蒸気による無害化・資源化技術
    【北陸電力】移動式による低温無害化・資源化技術(オンサイト処理)

【廃石綿等の溶融施設の設置】
 廃石綿等の溶融施設の設置については、廃棄物処理施設の設置を計画又は実現したことがある事業者ならどなたでもその困難性を連想されることと思われます。
 廃棄物処理施設と聞いただけで周辺から反対運動が起こり、その設置には多大な苦労と困難がつきまといます。
 ましてや、「溶融(法令上は焼却施設のジャンル)施設」、さらには「静かな時限爆弾」とも言われている「アスベスト」です。周辺住民の忌避反応が目に浮かぶようです。

  1. 法令面から見た「廃石綿等の溶融施設」
     排ガスを伴い焼却施設のジャンルに加えられる「廃石綿等の溶融施設」は、法令面でも多くのハードルを抱えることになります。
    ◇廃棄物処理法
    ・年間(4季節)を通じた大気質の調査等を基に施設の稼働による周辺の生活環境への負荷を予測する「生活環境影響調査」
    ・許可申請書の告示縦覧、関係住民+市町村長からの意見提出、専門家の意見聴取等々。
    ◇建築基準法第51条ただし書許可
     都市計画区域内に設置の場合、その敷地の位置について関係機関(法令)との調整に始まり、都市計画審議会への付議を経て決裁(許可)。
    ◇開発許可申請(都市計画法)
     一定規模(面積)の土地の開発行為を伴うものについては、開発許可申請が必要。

  2. 現実的な考えに立った「廃石綿等の溶融施設」の設置
    ◇許可の実現見込みのある敷地の選定
    ◇許可に至るまでのリスクに見合った規模の設定
    ◇(現時点では高い処理料金が見込める)廃石綿等の量の先行き見通し ⇒ 並行処理できる廃棄物の手当て

【アスベスト無害化処理認定施設の設置】
 アスベスト無害化処理認定施設の設置についても、施設の設置に至る諸手続きの面では一概に「廃石綿等の溶融施設」と比べて簡単であるとは言い切れませんが、「溶融施設」と比較するとその困難性が緩和できそうなものが少なからずあります。

  1. 法令面から見た「無害化処理認定施設」
    ◇廃棄物処理法
    ・従前の都道府県・政令市に代わって、国が直接認定に当たる。
    ※認定(施設ごとの個別認定であって、型式認定ではないので注意。)
    ・「生活環境影響調査」=排ガスを伴うのものについては溶融(焼却)施設と同様。
    ・排ガスを伴わない処理方式のものについては、軽減されるものもある。
    ・許可申請書の告示縦覧、関係住民+市町村長からの意見提出、専門家の意見聴取等々の一連の流れについては、溶融(焼却)施設とほぼ同様。
    ◇建築基準法第51条ただし書許可
    ・廃棄物処理法の政令施設(=建築基準法施行規則第130条の2の2)に該当しない場合には、基本的に不要。
    ◇開発許可申請(都市計画法)
     一定規模(面積)の土地の開発行為を伴うものについては、開発許可申請が必要。

  2. 「無害化処理認定施設」の設置
    ◇許可の実現見込みのある敷地の選定
    ※前述4.(2)の「無害化処理認定施設」の種類によっては、周辺の生活環境に与える負荷の度合いが、現状でも相当数設置されている「破砕施設」並みにリスクが低いと見込まれるものもある。
    ◇「無害化処理認定施設」は幸いなことに「廃石綿等の溶融施設」よりも、その処理方式の種類の選択肢が多い分、地域の特性や事情に見合った選択が可能。
    ◇「無害化処理認定施設」が多く扱っていくことになるであろう「石綿含有廃棄物」の現行処理料金(安定型処分場埋立)と対抗できる処理料金の設定。
    ⇒ 施設建設及び運営コストの検討+設定。

【施設建設に向けたサポート】
 私どもは、これまでに培ってきた廃棄物処理施設の設置に関する数々の経験を活かし、アスベスト無害化処理の事業化をお考えの皆様に、具体的で実効性のあるお手伝いをして行きたいと考えています。

  1. アスベスト無害化処理事業・基本計画の策定
  2. 無害化処理施設立地の選定/関連許認可業務
  3. 無害化処理技術/方式の比較検討・選定
  4. 無害化処理施設の許認可計画の策定
  5. 無害化処理施設設置に向けた許認可諸手続き
    ・事前協議の対応
    ・関係法令対応
    ・地元(周辺地域)との調整業務
    ・生活環境影響調査に係る業務(環境計量証明事業所と連携)
    ・許可申請(又は「無害化認定申請」)

【むすびに】
 本来なら、小難しいことを並べるのでなく、堂々と胸を張って「安心できる施設を建設し世の中のお役に立ちたい」と宣言し、計画実現に向けて邁進していけばそれで済みそうなものですが、残念なことに現実の壁は厚く、相当の困難が予想されます。
私たちはそれらの「壁」を避けるのではなく、壁を「鏡」とし、真に安全で有効な施設作りの規範にしなければならないのだと考えます。
 往時に比べてみれば決して多いものではなくなった当業界のビジネスの選択肢を模索する上で、困難さは承知の上で「活路」を見出そうとされる「志」の出現が待望されているのだと思います。
「静かな時限爆弾」といわれるアスベストによって、私たちの健康被害がこれ以上脅かされることのないよう、また次世代に「負の遺産」を引き継ぐことなどないように、当業界の智恵と努力で対処していきたいと願っています。

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